調達業務の大幅な効率化を実現


Ana Trading

Company

全日空商事株式会社

所在地:

〒105-7136
東京都港区東新橋1-5-2
汐留シティセンター

設立日:

1970年10月15日

資本金:

10億円

代表者:

日出間 公敬

従業員:

連結 1,912名
単体  407名
(2012年3月31日現在)

Webサイト:

http://www.anatc.com/


全日空商事株式会社

全日空商事株式会社(以下、同社)は、全日本空輸株式会社(以下、ANA)の航空機運航業務に必要な物品調達、空港店舗業務等を目的に1970年に設立されました。その後、40年以上に渡り、航空機部品の調達、航空機の輸出入・リース・売却、機内サービス・販売用物品の企画・調達、および全国空港売店の運営などの航空附帯事業のほか、紙・パルプや食品の輸入販売、半導体・電子部品の輸出入、広告代理業、インターネットショッピングサイトの運営など多彩な事業を展開、「エアライン系商社」という業界でもユニークな存在として、独自の道を歩んできました。

同社は、激変する事業環境を背景に、ANAグループの商事会社として「ANAのユニットコスト削減への貢献」と「ANAグループ外からの収益の拡大」という目標を達成するために、航空機整備・運航用の設備/TOOLの受発注を中心とした調達業務システムをNetSuiteに刷新しました。今回はその経緯と効果について、同社航空機部 アビエーションチーム マネージャー 金津 宏則 氏にお話を伺いました。

同社が注力する2つの方向性

ワールドビジネスセンター(株)

金津 宏則 氏
全日空商事株式会社
航空機部
アビエーションチーム マネージャー

1970年10月の設立以来「エアライン系商社」として、40年以上に渡り多彩な事業を展開してきた全日空商事株式会社(以下、同社)。しかしながら、近年、不安定な国際金融情勢や円高など先行き不透明な経済状況、原油価格の上昇によるコスト増、国内を拠点としたLCC(格安航空会社)の本格的な就航など、日本の航空業界を取り巻く事業環境は大きく変化しており、ANAグループ全体としても需給適合の強化や機材稼動の最適化などによりさらなる効率化を推し進めつつ、環境変化に対応し勝ち残るための土台作りに取り組まれています。同社航空機部 アビエーションチーム マネージャー 金津 宏則 氏は激変する事業環境を背景に航空業界全体でコストに対する意識が大きく変ったと語ります。

「LCCが登場したことにより、コストの部分が今まで以上に重視されるようになりました。LCCの場合、ローコストでサービス提供するためには、ローコストで運営しなくては成立しないという大前提があります。そのため、ANAだけでなく、どこのエアラインでもコストに対する意識が今まで以上に強くなったと思います。空港で使う機材についても、こんな豪華仕様なものは本当に必要なのか?という見方をされるようになりました。お客様からも、新しいローコスト機材を探したいという要望が出て来るようになりました。」

 現在、ANAではグループ一丸となって、ユニットコストの削減に継続的に取り組んでいます。ユニットコストとは、航空会社のコスト競争力を示す重要な指標であり、営業費用を座席キロ(1席を1キロ運ぶ)で割ることで算出されます。そのため同社にとってもANAのユニットコスト削減に貢献できる施策の提案が非常に重要になりました。また、同時にグループ全体の収益に貢献するためにも「ANAグループ以外の外部収益の拡大」も重要だと言います。金津氏は同社が注力するこの2つの方向性について次のように語ります。

「ANAグループの一員として、ユニットコストの削減に貢献できる新しい施策を常に探しています。そのために、世界のLCCをはじめとする航空会社が行っているユニットコストを下げるための取り組みや成功例の情報収集を行い、ANAに対して紹介・提案して還元しなければなりません。もうひとつは、商事会社として、ANAグループ以外の外部収益を新たに増やしてグループ収益の拡大に貢献することです。」

現在、航空機部アビエーションチームの金津氏のグループは、ANAの航空機整備・運航に関わる設備/TOOLの国内調達・海外調達をANAに代行して担うようになっています。

「ANAが世界で初めて導入したBOEING 787をはじめとする調達量の増加に伴い、現場の調達業務の作業負荷が高くなりました。そのため、4つに分散した既存の古いシステムや、エクセルによる手作業に依存する業務フローでは十分に対応できなくなりました。」

このような背景から航空機整備・運航用の設備/TOOLの調達業務の大幅な効率化が必要だと感じた同社は、業務システムの刷新および強化が急務だと判断しました。

バラバラのシステムでは業務効率向上に限界

同社は増加する調達業務を、ファイルメーカーをはじめとする個別に構築された4のシステムおよびエクセルを使って行っており、大量のペーパーワーク、データの重複入力や更新に要する手間や時間的ロス、データの正確性に問題を抱えていました。案件のステータス確認についても、Eメールを中心に行われており、確認漏れや確認に要する時間的ロスが問題となっていました。さらに、ANAとの情報の受け渡しや海外拠点(ロサンゼルス、シアトル、ニューヨーク、パリ)とのやり取りも個別に行われており、現場の業務は非常に煩雑なものになっていました。金津氏は次のように語ります。

「極端な例えですが、案件が集中すると担当者はデータの入力作業だけで1日過ぎてしまうこともあり、丸1日、損してしまうということもありました。取引ボリュームが増えると、いままで手作業で行っていたこと、例えば、注文書をひとつ送る場合でも、エクセルで打ち込んで出力してもいいのですが、ひとつひとつを手作業で行っていると、積み重なればそれなりの時間が必要になりました。」

このような課題を抱える中、金津氏は、業務データを共通のシステムに集め、そこからの抽出で作業ができるようになると、手作業を極小化し業務全体を効率化、同時に業務に必要な人的リソースを最適化できると考えるようになりました。金津氏は、自身がイメージしたシステムの共通化について次のように語ります。

「航空機整備・運航で必要となるものを、いち早く供給元から見積を入手して注文を行い納品先に持ってくるとなると、今までのように箱ごとにデータを入れ直していると時間がかかるばかりになりますので、今までバラバラだったものを全部繋いで、共通の容れ物に向かってデータを入力していくというのが発想の根本にありました。システムの共通化というと、様々なやり方があると思いますが、みんながすぐに同じ情報にアクセスできることが一番効率的だと考えました。情報をひとつのシステムに集めることで、そこからの抽出で作業を行えるようになれば、無駄な手作業を減らすことができるというのが原点にありました。」

また、導入するシステムについても、現場で自立的に運用できるシステムであることも大前提だったと言います。

「弊社の場合、総合商社であり部署ごとに全く異なる業務を行っているため、個別のシステムやツールが必要になります。よって、現場のメンバーで自立的に運用できるシステムである事が必要でした。」

そして、金津氏は、アイネットの提案にあったNetSuiteが、同社が理想とするシステムの共通化を実現できると考え、導入の検討を始めました。

調達業務の大幅な効率化を実現

同社の航空機整備・運航用の設備/TOOL調達業務に導入されたNetSuiteは、2011年6月から要件定義に1ヶ月半、同年11月から開発期間7ヶ月を経て、2012年5月より稼働しています。

今まで個別に構築された4つのシステムで行われていた調達業務は、すべてNetSuiteに集約され、注文書発行などの大量のペーパーワーク、4つのシステム間で発生する手作業によるデータの重複入力、ステータスの確認に要していた大量のEメールを削減しました。NetSuiteへのアクセス権は、社内の担当者だけでなく、同社の海外拠点およびANAの担当者にも提供され、情報共有の精度とスピードが向上、結果として業務の大幅な省力化・効率化ならびに業務品質の向上を実現しました。

同社のNetSuiteの運用で最も特徴的なものが、個々の案件に関連する情報を、メッセージのような文言も含めて、すべてNetSuiteに集約していることです。金津氏は、調達業務に関わるすべての活動を共通のシステムで行い、共通の仕組みの中で記録を残して行くことが、業務の省力化・効率化ならびに業務品質の向上に大きく貢献していると述べています。

「個々の案件に関連する情報は、すべてNetSuiteに入力しています。レコードについても、従来海外拠点とEメールで行っていたやりとりの情報もNetSuiteを通して行っていますので、誰が見ても、その案件がどのようなステータスなのか、すぐに判るようになりました。今までだと個々の案件のステータスの確認は、海外拠点に対しても、調達先に対しても、すべてEメールで行われており、1日のメールがものすごい件数で、ひどい時には500件くらいになっていました。今は、個々の案件に関する海外拠点とのメッセージのやり取りはNetSuiteに集約していますので、メールの量も、メールを見る時間もかなり削減され、今までよりもずっと省力化できていると思います。しかも、みんなが同じ情報を見ているので話も早い。担当者間でも話が早いですし、海外拠点で距離が離れた人との話も早くなりました。また、私の個人的なところではありますが、個々の案件に関するメールのやりとりをCCで受信しても件数が多いとタイムリーな対応が行えない場合があります。そのため、共通の仕組みのなかでステータスを見て行った方が、効率的に確認が行え、かつ、確認漏れを防ぐことができます。」

ワールドビジネスセンター(株)
金津氏のカスタマイズされたダッシュボード
リマインダと受発注が一覧出来るようにカスタマイズされている\

引き続きANAのユニットコスト削減と外部収益の拡大に注力

金津氏は、NetSuiteの導入に対して、ある程度やりたいことは実現できたとして一定の評価を与えています。

「正直なところ、今までは作業に追われて前述の2つのミッションに十分な貢献ができていないところが多々ありました。しかしながらNetSuiteの導入によって作業効率を向上させる事ができ、限られた人的リソースの中で積極的な取組を行える状況が生まれてきました。これは、NetSuiteを導入したことの、ひとつの成果だと考えています。」

また、業務の効率化・省力化以外にも、データの活用や分析がユーザ主導で手軽に行えるようになったことも大きいと言います。業務で貯まったデータを活用することで、傾向値の分析、統一の指標の設定、データをもとにした新たな施策の検討などを行えるようになったと金津氏は述べています。

 「決まった定型業務を行うという意味では、手間はかかっていましたが、今までもできていました。もちろん、その部分は、NetSuiteによって効率化することができましたが、データを分析するということは、今までの仕組みでは必要とする情報が各システムに分散していたり無かったりと、かなりの作業量になりほとんどできていませんでした。今では、必要なデータはすべてNetSuiteに集約していますので、いつでも分析に活用することができます。NetSuiteが動き出してちょうど約半年くらい経ち、データもある程度、貯まって来たので、傾向値なども出せるようになりました。そのため、統一の指標の中で努力目標値を設定したり、施策を考えたりできるようになったところです。リマインダや保存検索は、現場のメンバーでも手軽に活用できるので、とても便利な機能だと思います。」

金津氏は今後の展開として、引き続きANAのユニットコストの削減と外部収益の拡大に注力していくと述べています。

「今後の当社のミッションも大きく変わる事は無いと思います。ANAグループの一員としてユニットコスト低減に関わる貢献、また、ANAグループ以外の外部収益への貢献に積極的に取組んでいきたいと思います。それには、ANAグループの商事会社として培った他社には無いノウハウ、今般導入したNetSuiteを活用して実現していきたいと思います。そのためにも一定の業務効率化の効果は出ていますが、当社のNetSuiteもより良い仕組みにしていければと思っています。」